キュレーターズノート

MIMOCA'S EYE vol.2 小金沢健人 展「動物的」/やなぎみわ 婆々娘々!

植松由佳(国立国際美術館)

2009年02月15日号

 1990年代前半、日本では美術館建設ブームがおこり各地で先を競うかのように多くの美術館がオープンした。しかし空前の好況をもたらしたバブル経済は破綻をきたし、やがてつい先日アメリカ人の期待を担って就任したオバマ新大統領もそのスピーチのなかで悪しきお手本としてとりあげた我が日本の「失われた10年」の日々を過ごすこととなり、それとともに予算的にもまた指定管理者制度の導入などによっても美術館運営は冬の時代が到来した。
 そのような状況下において、多くの美術館が試行錯誤を繰り返しながら、新たな方向性を見いだそうとし、その試みはいまも続いている。そうした美術館のひとつ(私事ながら前勤務先である)丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(以下MIMOCA)では、主に3階の展示室で行なわれる企画展とは別に、通常は常設展示を行なう2階の展示室を用いて、小規模の企画展を開催することがある。まずFOCUSと題されたシリーズ。これはスティーヴ・マックィーンやエイヤ=リーサ・アハティラによる作品数点をプロジェクト的に紹介するものであり、「小回りのきいた企画展」といえるものかもしれない。また若手作家を紹介する目的なのがMIMOCA'S EYEである。第1回目には写真家の野口里佳を紹介したが、第2回目となる今回、ベルリンをベースに活動している小金沢健人の「動物的」と題された展覧会が開催されている。

 

1Fエントランスでの展示

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