会期：2024/04/26～2024/05/16
会場：フジフイルム スクエア［東京都］
公式サイト：https://fujifilmsquare.jp/exhibition/240426_01.html

「富士フィルムグループ 創立90周年記念コレクション展」として開催された本展には、20世紀を代表する写真家20名による53点の作品が展示されている。2014年に、「創立80周年記念」として、日本の写真家101名の写真作品を収集・集成した「フジフイルム・フォトコレクション展」（現在も全国各地を巡回中）を開催しているが、本展はその続編というべき展覧会である。

アルフレッド・スティーグリッツ、ジャック゠アンリ・ラルティーグ、アウグスト・ザンダーといった、巨匠たちの名作をはじめとして、ユーサフ・カーシュ、エリオット・アーウィット、W・ユージン・スミスなどによるヒューマニズムを力強く打ち出したポートレート群、さらにマーティン・パー、セバスチャン・サルガド、スティーヴ・マッカリーといった現代写真家の作品まで、コレクションの内容は多岐にわたり、とても充実していた。作品を見ていて気づいたのは、20世紀の後半になるにつれて、歴史に名を残す、いわゆる偉人たちのポートレートだけではなく、パーの「ラスト・リゾート」シリーズ（1983-1985）、マッカリーの「アフガニスタンの少女」（1984）のように無名の人物たちの瞬間の表情を捉えた写真群がより精彩を放って見えてくることだ。それらの写真は20世紀全般における人間観の変容──公的な観点からプライヴェートな眼差しへ──にも対応しているのではないだろうか。

少し気になったのは、今回のコレクション展には、アメリカ・シカゴで写真を学んだ石元泰博を除いては、日本人の写真家たちの出品がなかったこと。「人を撮る」というテーマで日本人写真家の作品との共演が実現できればもっとよかったのではないかと思う。今後、日本人写真家の作品の収集を含む企画の展開を期待したい。

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鑑賞日：2024/04/26（金）