「ユートピアズ&ビジョンズ」会場風景、1971年6月19日、後楽園アイスパレス
(左から)小杉武久、粟津潔、平尾昌晃[写真提供:HEAR]
神奈川・粟津潔邸にて、「小杉武久の2024 at 粟津潔邸」が開催されます。
僕はアートに関して、とても幸運な人生を送ってきた。小学校のころから小杉武久の演奏を体験する機会があったのだから。父・粟津潔に連れられていった場所はどこかの大学講堂だったように思う。そこで初めてタージ・マハル旅行団を体験したのだ。さらにまた何年かが過ぎたニューヨーク、マース・カニングハム・ダンス・カンパニーのオーケストラ・ピットで、小杉武久は孤独な世界に一人、険しくも美しい音を奏でていた。その後東京でもその演奏を聞けたし、青森では彼のインスタレーションをはじめて見た。そして、2007~2008年に金沢21世紀美術館で大々的に行われた「荒野のグラフィズム 粟津潔展」の最中での圧倒的なパフォーマンスは忘れることはできない。
それからまた何年かが過ぎ、芦屋市立美術博物館の「音楽のピクニック」 展で僕は小杉武久と再会することになった。とても嬉しかった。その時、「亀は元気?」と彼は言った。1970年、イランの砂漠からタージ・マハル旅行団が粟津潔への土産として連れて帰った小さな陸亀のことである。時は過ぎ、粟津潔は死に、小杉武久もこの世を去った。けれども、その亀(名前はマランダ!)はきっと脳内に電子音を響かせ、今日も粟津潔邸の屋上を元気に動き回っている。
1972年の完成当時、粟津潔邸=AWAZU HOUSEは「出会いの場」だった。音楽家、詩人、デザイナー、美術家、写真家、映像作家、建築家など、粟津潔を中心に、彼らはここで出会い、共鳴し、時には摩擦し、何かを発見し、何かを作り始めた。 2024年11月、原広司設計によるこの傑作な空間、今回、そこにとてつもない魂を吹き込む。肉体は存在しなくてもこの芸術家の突き抜けたスピリットは、今、音となり形となり、AWAZU HOUSE を自由に踊りはじめるのだ。 小杉武久、未来へ!
(イベントサイトより)
<展示予定作品>
小杉武久:《五十四音点在》(1980)、《Interspersion 1998》(1998)、《Illuminated Summer II》(2016)、ほか
粟津潔、和泉希洋志、ニシジマ・アツシ
関連イベント
■和泉希洋志 オープニングアクト
日時|11/9(土)14:00
出演|和泉希洋志
参加費|一般=3,500円/学生=2,500円(当日中の展示の入場料を含む)
定員|40名(要ウェブ予約)
*詳細はこちらをご覧ください。
■対談「タージ・マハル旅行団について」(仮)
日時|11/16(土)15:00〜17:00
出演|永井清治(タージ・マハル旅行団メンバー)、湯浅学(音楽評論家)
参加費|一般=3,500円/学生=2,500円(当日中の展示の入場料を含む)
定員|40名(要ウェブ予約)
*詳細はこちらをご覧ください。
会期:2024/11/9(土)〜2024/11/17(日)
会場:粟津潔邸(神奈川県川崎市多摩区南生田1-5-24)
開館時間:11:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)*イベントのある日は変更の場合あり
休館日:会期中無休
入場料:一般=3,000円/学生=2,000円
企画・制作:HEAR/KEN/SETENV
問い合わせ先:SETENV
E-mail:mail@setenv.net
公式サイト:https://www.setenv.net/events/takehisa-kosugi-2024-at-awazuhouse