会期:2025/01/22~2025/04/06
会場:PLAY! MUSEUM[東京都]
公式サイト:https://play2020.jp/article/seiichi_horiuchi/

1970年に出版されたファッション雑誌『anan』の創刊号ほど、時代の象徴として、何度も振り返られることの多い雑誌はないだろう。創刊からすでに半世紀以上が経ったにもかかわらず、流行が何周も回っているかのように、いつ見ても新鮮な印象を抱けるのだから不思議だ。古色蒼然とすることがないのである。本展で観ても、やはりそうだった。ファッションの領域を大きく広げ、洋服だけにとどまらず、音楽やダンス、食べ物、旅行、ライフスタイルに至るまでさまざまなことをビビッドに伝えた誌面作りは「革命的」と評されている。当時はまだ珍しかった外国人モデルの起用や海外ロケなどによって、読者に遠い外国への憧れを抱かせたという点も然りだが、お洒落な情報が弾むように目に飛び込んでくるエディトリアルデザインは、真似しようと思ってもできるものではない。以後、『BRUTUS』『POPEYE』『Olive』……と、その手腕は後続雑誌にも引き継がれていくのだった。

展示風景 PLAY! MUSEUM [撮影:植本一子 © Seiichi Horiuchi]

堀内誠一(1932-1987)といえば、そうした旧・平凡出版からマガジンハウスに至る一時代を築いた敏腕アートディレクターという認識でしかなかったのだが、別の一面を持っていたことにも気づいた。絵本作家としての堀内誠一である。『ぐるんぱのようちえん』『くろうまブランキー』『ロボット・カミイ』など、私も読んだ覚えのある懐かしい絵本が本展では展示されていたのだ。となると、幼児の頃は絵本を見て、青年時代には雑誌を読んでというように、昭和世代の人間であればほぼ誰しもが堀内誠一の何かしらのクリエイションに触れて成長したことになるのではないか。そう考えると、彼の偉大さをひしと感じざるを得なかった。

展示風景 PLAY! MUSEUM [撮影:植本一子 © Seiichi Horiuchi]

それを物語るかのように、最後のセクションでは「私の好きな堀内さん」と題し、110人もの多種多様なクリエイターが推薦作品とコメントを寄せていた。それらを一つひとつ追っていくだけでも楽しく、堀内誠一のさらなる一面を発見できた。本当に一人の作品とは到底思えないほど、さまざまなタッチのポスターやイラストマップ、ロゴタイプ、絵などが並んでいて、彼の器用さを目の当たりしたのである。読者にも、仲間にも、こんなにも愛された稀代のクリエイターはほかにはいないだろう。

展示風景 PLAY! MUSEUM [撮影:植本一子 © Seiichi Horiuchi]

鑑賞日:2025/02/22(土)