2025年2月、熊本での取材の日、菊池恵楓園の近くで[筆者撮影]

桜があっという間に散ったかと思えばすぐさま新緑が輝きを増し、夏の気配すらもじりじりと迫り、季節の流れる速度におののくここ数日。公開からは少し間が空いてしまいましたが、3月末〜4月の頭にかけて、対談連載「もしもし、キュレーター?」の最新回が、およそ1年2カ月ぶりに更新されました。

2021年4月の連載開始からちょうど4年。ゲスト自身が話してみたい次のゲストに会いに行くという“数珠つなぎ”方式で、これまで合計7名の個性的な活動に取り組むキュレーターの方々に登場していただきました。

平成30年10月時点での文化庁の報告によれば、全国に8,400人以上と(意外とたくさん?)いる、美術館や博物館などで働く「学芸員(キュレーター)」。この肩書きから一般的にイメージされる、ビエンナーレやトリエンナーレのディレクションや、展覧会の企画のような一見華やかな職務領域というよりも、来館者一人ひとりと向き合う教育普及など、どちらかというと草の根的な視点を出自として持っていたり、地域の人々の生活とアーティスト・作品との間に起こる化学反応を目論んで美術館の外でも企画を試みたり──そんな学芸員たちが、普段どんなことを考えているのか、深く深く潜っていく、同業者同士ゆえの長い対話。

コロナ禍での小休止も挟みつつ、それでもリアルでの取材を一貫して行なっているのも本連載の醍醐味。千葉を起点に、神奈川→富山→鳥取→茨城→青森→熊本と、日本全国をじぐざぐと訪れてきています(こう書いていて初めて、最新回でようやく本州の外に出たことに気がつきました)。対談の収録だけでなく、その人の地場での活動の様子や表情も見せていただくことで立ち上がってくるその後の対談は毎回本当に刺激的で、訪れるエリアの人たちや未知の文化との出会いも含め、毎度得がたい時間と体験です。

ゆっくり・のっそりとした亀のような歩みではありますが、筆者としても大きな思い入れのある本連載。今回の更新を機に(初回からずっと三好愛さんにご提供いただいている、各対話のエッセンスを見事につかんだイラストもあわせて!)改めて読み返してみてください。

◆第1回〜第9回
https://artscape.jp/study/moshi/backnumber.html

◆第10回〜
https://artscape.jp/tag/もしもし、キュレーター?/

次回はそう遠からずの更新を目指しています。次はどこへ訪ねて行くのでしょう。(g)