新年おめでとうございます。2026年最初の編集雑記です。artscape読者の皆さま、昨年はありがとうございました。
artscapeにとっての2025年は、なんといってもサイトの立ち上げから30周年という記念すべき年。編集部としてもこの節目をどう盛り上げるか、つねに試行錯誤しながら企画に励んだ一年でした。
過去の記事のアーカイブだけでなく、黎明期当初に刊行されたartscapeの関連書籍や、かつて編集部内で共有されていた資料などに目を通すなかで編集部メンバーも初めて知る事実がとても多く、ひとつのサイトだけでもこれだけ複雑で膨大な地層が折り重なっているのだ……(いわんや普段取材などで何気なく訪れている美術館・博物館といった施設で、過去の歴史的資料を調査・整理する立場の人が身を浸している時間の感覚はどのようなものだろう)と気が遠くなりながら、メディアと文化をめぐるここ30年の社会の変化に思いを馳せる日々を過ごしました。
過去を振り返るだけでなく、未来のウェブメディアのあり方を考える座談会など、ちょっと先の未来を見据えた記事や、あるいはローカルな営みに目を向けた記事など、ここまで多様な企画の実験場の様相も呈している30周年関連企画。今年度いっぱいはまだ続いていく予定なので、3月のフィナーレまで、引き続きよろしくお願いいたします。
ほかにもたくさんの展覧会やミュージアム、作品に関する記事を公開しましたが、今年はそれらの受け取り手をめぐる状況や、鑑賞の体験をさらに豊かで知的な営みにどうつなげていくことができるかについても、よりさまざまな角度から調べ考えていきたいなと思っているところです。
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そして実はこのたび嬉しいことに、artscapeがデジタルアーカイブ学会(JSDA)より第7回デジタルアーカイブ学会賞(功労賞)をいただき、先日その授賞式に参加してきました。
「デジタルアーカイブ学会学会賞」とは、「デジタルアーカイブ及びデジタルアーカイブ学会(JSDA)への社会的関心を高めるとともに、我が国におけるデジタルアーカイブの振興と学会活動の発展に資する」ことを目的として、毎年「デジタルアーカイブ及び学会活動に寄与した活動」に与えられる賞です。過去の受賞者・団体などには、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンや国立公文書館アジア歴史資料センター、国立映画アーカイブなどなど、錚々たる面々が並びます。サイトの開始から30周年という節目の年。その終わりに突然舞い込んだ受賞の報に、年末の編集部は沸き立ったのでした。

授賞式は1月9日、神保町・一橋講堂での「デジタルアーカイブ学会 第10回研究大会」のプログラムのなかでの開催。連載「デジタルアーカイブスタディ」で過去にご執筆いただいた方々の姿も多くお見かけし、その末席に加えていただいて少し誇らしい思いでした[撮影:影山幸一]
授賞理由は、「1995年の開設以来、30年にわたり全国の美術館・博物館や展覧会情報を発信し続けている。特に『ミュージアムデータベース』や現代美術用語集『Artwords®』、専門家によるレビュー記事の蓄積は、アートシーンの動向を中心に、日本のデジタルアーカイブ黎明期からの貴重な記録としての価値を有している。美術情報と生活者を結び、芸術文化の振興と情報の保存・継承に寄与してきた功績は極めて大きい」ということでした(学会のサイトに、受賞者の一覧とその理由が掲載されています)。帰り際のロビーでは、デジタルアーカイブ学会の理事であり、今年度の学会賞選考委員・作業部会長も務める福島幸宏さんからも、「周りの(デジタルアーカイブに関わる)人たちは、もれなくartscapeを初期から見てきた人たちなんですから」といった旨の温かい言葉を掛けていただき、改めて背筋が伸びるばかり。
賞状に加え、受賞の記念品もいただきました[撮影:artscape編集部]
世界情勢においては心が痛むことも多い日々ですが、皆さまにとっても視界が広がる体験と言葉にあふれた一年となりますように。今年もよろしくお願いします。(g)