長年島根県匹見町で農業に従事しながら絵画制作を続けてきた池田一憲(1942年-)と、岩手県遠野で、山林を主題にした大型木炭画の連作や、身の回りの移り変わる自然を主題にした油彩を描き続けてきた本田健(1958年-)の二人展を開催します。

本展は、60年代以降広島と島根で展開された美術の現場を背景に、池田と本田の長年に渡る交友関係を焦点として企画されました。

本田は、山口県長門市出身です。当時地元高校で美術を教えていた殿敷侃(1942年-1992年)と出会い影響を受けました。殿敷は広島出身で、高校卒業後国鉄に勤め、同僚の池田一憲と知り合い生涯に渡る交友が続きます。後年廃品などを使ったインスタレーションを発表するようになる殿敷は、当時池田の独特の点描画の影響を受け、亡くなった両親の遺品などを点描画で描き始めたといいます。そして、本田は殿敷を通じて池田と交友を結ぶことになります。

池田は国鉄を辞めた後、故郷に戻り農業を始めました。その作品には、農夫として生活をする池田の目を通した山里の風景と人間、地方の歴史と民間伝承、仏教世界が自由自在に織り込まれています。

哲学者の梅原猛は1966年島根県旭町の町役場にかかっていた池田の油彩を見て衝撃を受けます。梅原が池田を画壇に紹介したところ「現代の素朴画」と紹介され話題になりました。当時、美術評論家の末永照和は池田の絵をブリューゲルやウィーン幻想派と比して評価しました。一方本田は、20代に三ヶ月ヨーロッパ各地を巡った後、岩手県遠野市に移住、日本の山水を描こうと決めました。築百年を超える古民家に住みながら、山里の自然を相手に絵を描き続けています。代表作シリーズの「山あるき」は、何時間も歩く山の中で遭遇する自然の光景を主題にしています。

池田と本田に共通するものは、地方の自然のなかで暮らす者としての視線と、長年たゆまなく継続されている生活と一体化した制作活動です。本展では、絵画の原点を見つめ続けるふたりの画家の作品を紹介いたします。

池田一憲《民話》(1975)、キャンバスに油彩、727×530mm[© Kazunori Ikeda, courtesy of MEM]
本田健 《鹿の骨(オニユリ)II》(2023)、キャンバスに油彩、450×530mm[© Takeshi Honda, courtesy of MEM]

ウェブサイトより)

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日時|3/23(土)17:00〜
会場MEM
出演|土方明司(川崎市岡本太郎美術館館長)、池田一憲、本田健
定員|20名・要予約
参加費|1,200円
*詳細はこちらをご覧ください。

会期:2024/03/16(土)〜2024/04/14(日)
会場:MEM(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 3F)
休館日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
開館時間:13:00〜19:00
*3月23日(土)はトークイベント開催のため、観覧は16:30まで
問い合わせ先:TEL:03-6459-3205
協力:三潮画材
公式サイト:https://mem-inc.jp/2024/02/14/ikeda_honda_2024/