会期:2024/02/17~2024/03/17
会場:Maki Fine Arts[東京都]
公式サイト:https://makifinearts.com/exhibitions/suenaga2024/
正方形の画面をグリッド状に分割し、ドット化したイメージを描いている。大きい画面は32×32、中くらいのは16×16、小さいのは8×8のグリッドから構成される。描かれたイメージはゲームから引用したものもあれば、デジタルドローイングをiPadのアプリでドット化したものもあるそうだ。個々の作品タイトルはモチーフがなんであるかを示しているが、《赤い花瓶》や《爆発》はなんとなく形がわかるものの、《観客席》は目をぼかしてみなければそうは見えないし、《黄色い戦闘機》や《砲弾》に至ってはどう見たってわからない。
ところで、これらの絵は具象だろうか、抽象だろうか。花瓶や爆発の形が具体的にわかるから具象だろう。しかし戦闘機や砲弾は抽象形態にしか見えない。いや、どれもiPad上のイメージをそのまま写しているという意味では具象だ。でもグリッドを塗りつぶしていく行為は抽象ではないか──。ひとり議論は尽きないが、実のところ具象か抽象かなんてことはどうでもよく、これがデジタル画像ではなく手描きの絵画であることが重要なのだ。印刷や画面を通してだとわかりにくいが、生で見ると村上隆とは違って塗りムラや線の揺れ、絵具の盛り上がりが目につき、気分はデジタルからアナログへと引き戻される。決して「軽い絵」ではない。
鑑賞日:2024/03/15(金)