[ドイツ、シュトゥットガルト]

約30年ぶりにシュトゥットガルトを訪れた。前回は断片的な情報だけで足を運んだモダニズムの住宅団地、《ヴァイセンホフ・ジードルング》(1927)だが、いまはスマホを手にすれば、道案内がとても簡単だ。一部の建築は壊されているが、それでもドイツ工作連盟の展覧会としてつくられたミース・ファン・デル・ローエの集合住宅、アウトの連棟住宅ほか、11棟が現存している。すなわち、ここは実験的な住宅展示場だが、1棟をのぞいて、いずれも人が暮らしているため、残念ながら、内部は見学できない。丘から街を一望する良い場所にたつル・コルビジュエの作品は、博物館になっており、ジードルングの歴史を紹介しているほか、その片翼は住宅としての内部空間を体験できる。白い外観と違い、室内のシブい色彩効果や小さい居場所のつくり方が巧みだった。

 

ミース・ファン・デル・ローエの集合住宅

ル・コルビジュエの住宅(室内)

ル・コルビジュエの住宅(外観)

街中に戻る途中、シュトゥットガルトの中央駅近くの開発エリアにたつ、イ・ウンヨンによる徹底的にキュービックな《市立図書館》(2011)に立ち寄ったが、休館中だった。その後、中心に移動し、カルヴァー・パサージュを訪れた。市庁舎から新旧の宮殿、芸術館や州立劇場まで、ずっと自動車に邪魔されずに、歩けるのが素晴らしい。ミュンヘン、ハイデルベルグ、シュパイヤーなど、広範なエリアがウォーカブルになっている街が、ドイツには多い。ただし、中央駅(1928)とその周辺は大改造中のために、現在はアクセスがややこしい。臨時のルートを間違えて、思い切り無駄な遠まわりをするはめになった。

 

イ・ウンヨン《市立図書館》

中央駅

宮殿広場

ジェームス・スターリングが設計した《州立美術館》(1984)は、カール・フリードリヒ・シンケルの《アルテス・ムゼウム》の空間構成を反転したポストモダンの建築であり、赤、青、ピンク、緑の床など、いまなおカラフルな色彩が鮮やかだ。モディリアーニの企画展は、テーマごとに同時代の他の画家との比較を織り交ぜ、作風の違いを際立たせている。また現代アートも含む、コレクションは、とりわけドイツの美術史が充実している。ルーカス・クラーナハのユディトを描いた絵は、国立西洋美術館の「クラーナハ展―500年後の誘惑」(2016-2017)に来たものかと思いきや、調べると、ウィーン美術史美術館の所蔵作品が上野に来ていた。

 

ジェームス・スターリング《州立美術館》

鑑賞日:2024/03/17(日)