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青木繁と近代日本のロマンティシズム
国を挙げて近代的なシステムの導入が図られた明治時代は、西洋をモデルにした近代化を急ぐあまり、文化や思想の面で大きく混乱した時代でもありました。しかし、近代文明の導入の一方で、鎖国を解かれた極東の島の波打ち際には、西洋に限らず世界のさまざまな地域の、美術・文学・宗教・神話・民俗など異文化のかけらが到来しました。また、明治のなかばには、日本の中でも、歴史や伝統のかたちをなさずに保存された民間伝承にも目が向けられ始めます。文明開化が招いた文化の混乱は、末端の若い想像力には、新たな創造へと駆り立てる豊かな混沌でもあったのです。そこでは、西洋に学んだ留学生たちとは別のかたちで、断片的ではあれ手触りのある異文化との交渉が育まれ、ひとつの地下水脈が形成されてきました。
明治36年、神話世界を題材にした作品で白馬会に登場した青木繁(1882-1911)が、その若い想像力を開花させた≪海の幸≫こそ、この水脈の最初の噴出でした。20年ぶりの青木繁展として構想された本展覧会は、青木繁 の芸術を、その豊かな混沌の分析をとおして見直します。また同時に、異文化交渉に潜む普遍的な人間像への目覚めに着目し、萬鐵五郎、中村彝、村上華岳、村山槐多、関根正二ら個性的な作家たちを、美術史上の流脈を越えた見えざる水脈において捉えることで、近代日本美術への新たな視点を示します。
会期 |
2003年3月25日(火)〜5月11日(日) |
会場 |
東京国立近代美術館
東京都千代田区北の丸公園3-1 |
休館日 |
3月31日、4月7日・14日・21日、5月6日 |
開館時間 |
10:00〜17:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで) |
観覧料 |
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当日 |
前売 |
団体 |
一般 |
1,200円 |
1,000円 |
800円 |
高校・大学生 |
900円 |
800円 |
600円 |
※団体は20名以上
※小・中学生無料
※前売り券は3月24日まで |
主催 |
東京国立近代美術館、石橋財団石橋美術館、日本経済新聞社 |
問い合せ |
ハローダイヤル: 03-5777-8600 |
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