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1913 1913

19世紀末から第一次世界大戦に至るまでの、パリを初めとするヨーロッパの近代都市文化を彩った「ベル・エポック」のメルクマールとされる年次。「ベル・エポック」といえば、1900年のパリ万博に象徴される楽観的な雰囲気が支配的で、それに対応して美術の分野でも、象徴主義アール・ヌーヴォーフォーヴィズムなど、19世紀末に起源をもつさまざまな様式が開花した時期だったが、現実社会に眼を転じてみれば、未だ残るドレフュス事件の禍根はもとより、1904年の英仏協商、翌1905年の政教分離政策など、後年の世界大戦を予見させるような不安にも満ちていた。第二次大戦後の1947年、J=P・サルトルは『文学とは何か』(加藤周一ほか訳、人文書院、1998)でこの時期を回顧して、1914年に作家活動を開始していたか否かによって、フランス文学の世代的な分割を試みた。ここには無論、「ベル・エポック」の文学が前世紀からの遺産であり、その掉尾を飾るのがその前年に第一部が出版されたM・プルーストの『失われた時を求めて』であるとの認識がうかがわれる。そして、その認識は後年美術の領域にも敷衍され、パリ国立科学研究センターは「1913年」と題する浩瀚な研究書を発表し、以後まさしくこの年次が近代芸術史上のターニング・ポイントであったとする立場が定着していく。

(暮沢剛巳)

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