複数の紙片や物体を接合すること。 この技法は20世紀初頭、G・ブラック、P・ピカソらのキュビスム期の作品制作に導入され、以降ダダ、シュルレアリスムなどの作家たちにとって重要な意味を担う技法として、特に重要視されることとなる。
この技法への典型的な誤解として、先行して与えられる何らかのイメージあるいは対象を、基底となる任意の平面上に複数の断片を配置することでつくりあげるといった言説が考えられるが、この技法の本質はそのようなものではない。
ブラックは自分の作品を「変容」、「状況による変化」という言葉で特徴づけている。彼は、何らかの選択がまったく別の状況への変容を可能にし、さらに、その変容は再び別の選択のための、まったく新たな状況をもたらすものだと解説している。つまりここで、複数の状況を一義的に定義しうる基底面を指示することはできない。あるいは、それぞれの状況は絶対に一致しえない差異として現われるのだと言い換えることもできる。コラージュという技法はまさにそのような構造をつくり出す。ある断片の選択は別の断片の選択へと横滑りし、同時にその断片の規定する何らかの全体性は同様に別の全体性へと更新される。
アサンブラージュの項参照。
(森大志郎)
関連URL
●ピカソ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/p-picasso.html
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