「陶製彫刻」。粘土で作られた立体作品全般を広く意味する言葉だが、1950年代、主にカリフォルニア地域で展開された、粘土による立体作品を工芸から美術へとランクアップさせようとした美術運動のことを指す場合もある。この運動の創始者であるP・ヴォルコスは、ピカソやミロの陶芸作品でさえ工芸品として美術より一段低く見られていることに憤慨、美術としての粘土彫刻の可能性を追求しようとした。高級芸術への強い志向性が潜んでいる以上、当然のようにその作風や形態は工芸的な様式からは逸脱し、抽象表現主義をはじめ、当時隆盛を迎えていた美術動向とも密接に関連し、その要素を取り入れながら発展した。ヴォルコス以降にこの運動を継承した作家としては、1960年代以降に頭角を現したJ・メイソン、K・プライス、R・ショーらが挙げられるが、彼らの作品にもそれぞれミニマリズムやポップアートとの形態的類似性を指摘することは容易である。
(暮沢剛巳)
関連URL
●P・ヴォルコス http://artscenecal.com/ArticlesFile/Archive/Articles1996/Articles0296/Voulkos.html
●ピカソ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/p-picasso.html
●ミロ http://www.artchive.com/artchive/M/miro.html
●J・メイソン http://artscenecal.com/ArticlesFile/Archive/Articles2000/Articles1100/JMasonA.html
●K・プライス http://www.kleinart.com/Artists/Price/body_price.html
●R・ショー http://sheldon.unl.edu/HTML/ARTIST/Shaw_R/TL.html
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