アメリカのネオ・ダダ・アーティスト、R・ラウシェンバーグが1950年代半ばより自らの方法論を名付けて用いた言葉。「ペインティング」とはいっても、日常的な道具、廃品を組み合わせその上に筆を加えるもので、今世紀初頭のダダイズムが見出した「オブジェ」と絵画をコンバインする(組み合わせる)ものと言っていいだろう。ただしダダイズムのような反逆性や批判性、またシュルレアリスムのような分析性、象徴性を露骨に示すことはなく、即物的に(少々のユーモアを交えて)見るものの前に投げ出されていることが特徴である。ラウシェンバーグが用いた素材は、大量生産された工業製品や写真が主であり、ここには、工業化された社会を、自らの環境として積極的に認め、そこから新しい美をどうにか見つけ出そうとするラウシェンバーグの苦心のあとが垣間見える。ここから工業化された大量消費社会のイメージを全面的に受け入れるポップ・アートへの道が開かれたのである。
(苅谷洋介 )
関連URL
●ラウシェンバーグ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/r-rauschenberg.html
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