ニューヨーク近代美術館で開館7年目にあたる1936年に行なわれた企画展。同館ディレクター、アルフレッド・バーJr企画。同年に先立って行なわれた「キュビスムと抽象芸術」展を補完する展覧会で、「キュビスムと抽象芸術」展が、直交する直線などを基調とする幾何学的抽象へ向かう流れを示していたのに対し、この展覧会は、ダダイズムやシュルレアリスムを中心に取り上げ、もうひとつのモダン・アートの流れとして提示した。M・デュシャン、マン・レイなど、20世紀のダダとシュルレアリスムの作品に加えて、野菜を組み合わせて肖像を描いたマニエリスムの画家アルチンボルド、斜めから見ると初めて図が浮かび上がるアナモルフォーズなど、その先駆けとして位置づけられるものを15世紀にまで遡って集め、「幻想芸術」として出品した。さらに、児童画、精神障害者の絵、農民の絵など、今日、アウトサイダー・アートと呼ばれているものも展示した。20世紀美術を通じて最も重要なトピックのひとつでありつづけるプリミティヴィズムのテーマを美術館として初めてはっきりと打ち出した展覧会である。
(鷲田めるろ)
関連URL
●M・デュシャン http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/m-duchamp.html
●マン・レイ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/m-ray.html
|