既存の美術制度の外部にあって、しかも自らの行為をアートと認識することのない者によって営まれる美術活動、もしくはその活動の結果生まれた作品の総称。美術教育を受けていない独学者や子ども、精神病者らの作品が含まれるのをはじめ、場合によっては非西洋圏の民俗美術もこの範囲に含めて考えられることがある。その意味する範囲は、ナイーヴ・アートやプリミティヴ・アートなどの先行概念と重なり合う部分が多いが、後発概念のアウトサイダー・アート(1972年、R・カーディナルによって提唱されたのが最初とされる)が速やかに浸透していったのは、やはり「アウトサイダー」という語の持つ制度批判的なニュアンスの強さゆえであろう。ちなみに、諸々の先行概念の中でも、アウトサイダー・アートはとりわけアール・ブリュットとの共通点が多いものと目されている。1990年代以降は日本でも、「パラレル・ヴィジョン」等の展覧会や東京・資生堂ギャラリーの意欲的な企画によってその知名度が上昇していったが、「アウトサイダー」という語そのものが、実は「インサイダー」であるわれわれの都合から生まれたものであることを忘れてはなるまい。
(暮沢剛巳)
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