その名の通り、最終的な完成形よりはそこに至るまでのプロセスを重視する表現様式で、60年代後半から70年代初頭にかけて展開され、当時のE・ヘッセやH・ハーケの作品が代表的な作例として挙げられる。「プロセス・アート」が重要な表現様式として認知されたのは、1969年に開催された二つの展覧会、ベルン・クンストハレの「態度が形になるとき」とホイットニー美術館の「手続き/素材」によってであり、以後「プロセス・アート」は同時期の「ミニマリズム」に対置される重要な動向とみなされるようになった。すなわち、その表現様式が必然的に合わせもつ刹那性や可変性は、永続性や不変性を特徴とする「ミニマリズム」とはまったく正反対の性質をもっていたからだ。氷や雪、あるいは土やろうそくなどによって作られた、美術館への収蔵や再制作を拒むその作品や姿勢に、日本の「もの派」との共通項を探ることもできるだろう。
(暮沢剛巳)
関連URL
●H・ハーケ http://dialnsa.edu/iat97/Sculpture/haacke.html
●ベルン・クンストハレ http://www.kunsthallebern.ch/
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