印刷文字を使ったグラフィック・デザインの総称。古代エジプトの象形文字を引き合いに出すまでもなく、文字とは本来それ自体で視覚表象としての性質を持つものだが、長らく忘れられていたその事実が、20世紀前半、ロシア構成主義やバウハウスの実験によってあらためてスポットを浴びることとなった。シュルレアリスムの自動記述などを援用しつつ、各種の印刷文字による画面構成が盛んに試みられ、その視覚表象としての豊かな可能性が示されたからである。この発想は美術はもとより、デザインの分野にも大きなインパクトを与え、ロゴタイプ/ロゴアート、アイソタイプ、ピクトグラムなど、様々な文字デザインの可能性へと広がっていった。そしてもちろん、タイポグラフィの可能性は現在、コンピュータ・テクノロジーと相まってさらに拡張されようとしている。
(暮沢剛巳)
|