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O JUN「近作展」「ぺかぺか童子―上下と水平―」
木ノ下智恵子[神戸アートビレッジセンター] |
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●学芸員レポート 4月から新年度がスタートし、私は引っ越し荷物の空かずのダンボールの存在を黙殺しながら当年度事業の準備に追われている。 そんな中、春の幕開けを待ちわびたかのように、いくつかの新しいアートスペースが関西にオープンした。一つは言わずとしれた兵庫県立美術館「芸術の館」だ。1971年10月、兵庫県立近代美術館は県政100年記念事業の一環として建築家/村野藤吾氏の基本設計によって誕生し、ルノワール、小磯良平をはじめとする国内外の近代美術はもとより、80年代の現代美術の潮流を築いた『アート・ナウ』など、20世紀の美術の動向を伝えてきた。2002年4月、文化面における震災復興の象徴として新生・兵庫県立美術館「芸術の館」が神戸東部新都心(HAT神戸)に開館した。建築家は安藤忠雄氏、総事業費300億円、地上4階、地下1階建て、全国2番目の延べ床面積、阪神淡路大震災級の地震がおきてもコップの水もこぼれない免震機能、7.2Mの天井高の展示室やアトリエ、修復室etc……。これぞ正に【美の殿堂】と呼ぶにふさわしい面構えの顔見せは、日本における120 年の美術館史を作品や資料など約250点でたどる『美術館の夢』で幕を開け、人々は開館式典、開会式展、一般オープンなど幾重にも繰り広げられるセレモニーでその誕生を歓迎した。建築家の為の美術館か美術作品の為の建築か、、、コトが大がかりなだけに様々な物議はあるが、既にそこにある事実は変えようがない。初めは見かけの云々が優先されるだろうが美術館としての評価は中身=使い方で変化するだろう。私ならさしずめ無理してローンで購入した高価な鍋を使いこなせないままもてあましてしまいそうだが、ここは名コックが集う場。今後の展開に期待したい! 一方、横綱級の大舞台ではないが、アートの生態系には欠かせないギャラリーが3つもオープンした。大阪の老舗画廊が軒を連ねる老松通りの「ギャラリー千」は、2月に惜しまれつつ閉廊した「ギャラリー白」に携わっていた人物による新展開だ。大阪/天満橋の「TWINSPACE」は、「日下画廊」のリニューアルの際に新たな視点をと、プロジェクト形式の作家活動を経てギャラリストへと転身した手腕に委ねた名実共に若いギャラリーだ。京都/烏丸御池の「mori yu ギャラリー」は、美大生を対象とした貸しギャラリーが多い京都では珍しいコマーシャルギャラリーだ。 不景気のあおりを受けて閉廊や縮小を余儀なくされるアート劣性なご時世に、新スペースのオープンというニュースを聞くとなんだがホッとする。また、商いの街/大阪での本格的な2つのアートフェアの開催(4/25〜「CASO」、4/26〜「SUMISO」)や、芸術文化環境に優しい街/京都での2大アートイベント、サブカルチャーの金字塔「ペヨトル工房」の西部講堂でのファイナルイベント(5/11.12)とギャラリー巡りのビギナーを誘発する『KYOTO ART MAP』(5/16〜)など嬉しいニュースが満載だ!関西地区で「同じ窯の飯を食う仲間」とでも言おうか、この厳しい芸術環境の運命共同体と言おうか、、、。 新年度のスタートと共に届いた吉報を心の糧に!?それぞれの役目を全うして環境整備に励みたいものだ [きのした ちえこ] |
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