『アサヒグラフ』
- Asahi Graph
- 更新日
- 2024年03月11日
東京朝日新聞社が1923年1月25日に創刊したグラフ雑誌。ロンドンの『デイリー・ミラー』紙やニューヨークの『デイリー・ニューズ』紙を参考に、当初は日刊写真新聞としてスタート。上等紙を使い、紙面の3分の1を写真とイラストで構成し、「読む新聞であって且つ見る新聞」を目指した。しかし、創刊間もない同年9月1日に起きた関東大震災によって、9月11日付け(220号)で休刊。特別号として『大震災全記』を刊行したのち、大阪朝日新聞社が本紙の日曜版付録として21年から発行していた『朝日グラフィック』と合体するかたちで、11月14日から週刊での刊行を再開した。再開後は娯楽や風俗に関する記事が増えていったほか、32年には海外版も創刊するなどしたが、太平洋戦争が始まると、時局宣伝雑誌へと転身。用紙の不足のため刊行も不定期となり、海外版は41年に休刊した。戦後は再び風俗や世相を扱い、ユーモアやパロディをふんだんに取り入れた誌面づくりを展開。また、63年8月6日号に、占領中には発表が禁止されていた広島・長崎の原爆投下後の様子をとらえた写真を掲載し、4回の増版をして合計70万部を売り上げた。この号は「アサヒグラフを海外へ送ろう」という運動も引き起こし、日本ペンクラブやユネスコ日本支社によって、英訳を添えて各国へ送付が行なわれた。その後も学生紛争や沖縄返還など、さまざまな時代の局面を伝え続けてきたが、報道メディアの多様化のなかで2000年に休刊。しかし、2011年3月の東日本大震災の際に、『週刊朝日』の臨時増刊というかたちで、緊急復刊号『東北関東大震災全記録』が刊行されている。
補足情報
参考文献
『朝日新聞社史 大正・昭和戦前編』,朝日新聞百年史編修委員会,朝日新聞社,1991
『朝日新聞社史 昭和戦後編』,朝日新聞百年史編修委員会,朝日新聞社,1994
『アサヒグラフに見る昭和前史』(全2巻),朝日新聞社,1975
『アサヒグラフに見る昭和の世相』(全9巻),朝日新聞社,1975-76
『緊急復刊アサヒグラフ 東北関東大震災全記録』(週刊朝日臨時増刊),朝日新聞出版,2011