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「アノーマリー」展

“Anomaly”
更新日
2024年03月11日

1992年9月4日から同年11月4日までレントゲン藝術研究所で催されたグループ展。美術批評家の椹木野衣をゲスト・キュレーターとして、伊藤ガビン、中原浩大、村上隆、ヤノベケンジの4人が参加した。90年代のネオ・ポップの台頭を象徴する展覧会として知られている。「アノーマリー」(anomaly)とは、一般的には異常性や変則的なもの、例外状態を意味しているが、椹木は戦後日本の美術の特徴としてそのような体系の特異点、すなわち「ある規則的な体系において、それが絶対に必要であるにもかかわらず、それを考慮にいれると致命的な矛盾が生じてしまう事態」を挙げた。こうした主旨のもと、伊藤ガビンは自らの成長期に大量に摂取したインスタントラーメンで形成した巨大な自画像《セルフポートレイト1972-82》(1992)などを、中原浩大は内部に塩化マグネシウム溶液を貯水した巨大なタンク《タイトル不明》(1992)を、村上隆は16機の水銀灯を円状に配列した《シーブリーズ》(1992)を、ヤノベケンジは小型のユンボを家型のシェルで被い、緊急脱出用のカプセルも備えた《グランドハウス ゴー!ゴー!ゴー!》(1992)を発表した。「アノーマリーというより、単純に技術のノーマリティを感じた」(上野俊哉)という批評がないわけではなかったが、それでも玩具、アニメーション、SF、ジャンクフードといった記号を取り入れた作品は、60年代のポップ・アートとは異なる、90年代ならではの新たなポップの登場を華々しく告げた。

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参考文献

「アノーマリー」展カタログ,木村重樹、川畑健一郎編,池内美術レントゲン藝術研究所,1992
『美術手帖』1992年3月号,「座談会:ポスト・ホビー・アート・ジャパン」,中原浩大、村上隆、ヤノベケンジ,美術出版社
『美術手帖』1993年1月号,「芸術のアノーマリー、技術のノーマリティ」,上野俊哉,美術出版社