アンビルト
- Unbuilt
- 更新日
- 2024年03月11日
ある時点を基準に、いまだ建てられていない/建てられることのなかった、実現以前の建築のこと。アンビルトという言葉は、ビルト(built)に対して反語的に用いられる。実現を前提に構想されたが何らかの事情で建つことのなかったものから、実現を目指さず、既存の建築やそれを取り巻く制度に対する批評あるいは刺激剤として構想される建築、あるいはその定義の曖昧なものまで、「建てられることのなかった」という出発点を共有しつつ、さまざまな可能性を含意する言葉。アンビルトに限定して賞を与えるコンペティションや、コンペ落選案が実現案より大きな影響を与える例、アンビルトと思われていた構想が一定期間を経て実現可能な案に変化する例など、アンビルトがたどる経過には複数の可能性があり、建築自体を活性化し再生産する役割をもつ。また、2001年に建築家・磯崎新が上梓した書物のタイトルでもある。この本は「UNBUILT」と「反建築史」の二分冊で、1960年代以降の磯崎の作品から実際に建つことのなかった案を集め、同名の展覧会(ギャラリー間、2001)も開催された。
補足情報
参考文献
『UNBUILT/反建築史』,磯崎新,TOTO出版,2001
『アンビルト・ドローイング 起こらなかった世界についての物語』,三浦丈典,彰国社,2010
『アンビルトの理論』(INAX叢書),浜田邦裕,INAX出版,1995
参考資料
“The Fun Palace”,Cedric Price,1961
“New Babylon”,Constant Nieuwenhuys,1956-74
「農村都市計画」,黒川紀章,1960
「海洋都市」,菊竹清訓,1960
「東京都新都庁舎」,磯崎新,1986