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アーモリー・ショー(国際近代美術展)

Armory Show(The International Exhibition of Modern Art)
更新日
2024年03月11日

1913年にアメリカで行なわれた、大規模な近代美術の展覧会。正式名称は「国際近代美術展」(The International Exhibition of Modern Art)だが、ニューヨーク、マンハッタンにあった兵器庫(armory)で開催されたためこの名称で呼ばれる。その後、規模を縮小してシカゴ(アート・インスティテュート)とボストン(コプリー・ホール)を巡回した。同展は革新的な芸術を目指す美術団体「アメリカ画家彫刻家協会」のウォルト・クーン、アーサー・デイヴィーズ、批評家のウォルター・パッチらによって企画された。当初の構想は自分たちアメリカの新しい美術を展示することだったが、会長のデイヴィーズがヨーロッパの近代芸術を併せて紹介する必要性を主張し、国内と国外の二つの部門が用意され、総計で出品者数約300人、約1,300点の絵画・彫刻が集められた。アメリカ部門の大部分は協会の会員による作品で、国外部門はゴヤやドラクロワといった18、9世紀の巨匠作品から、ピカソ、マティス、カンディンスキーに至るヨーロッパ近代美術を歴史的に通覧する構成となっていた。有料であったにもかかわらず展覧会には約25万人が詰めかけ、ほとんどの人が初めて目にしたフォーヴィズムやキュビスムの作品は嘲笑から絶賛まで強い反応を引き起こした。特にマルセル・デュシャンの《階段を降りる裸体 No.2》(1912)は、その表現の是非を巡って大きな論争を呼んだ。同展はアメリカの作家を刺激しただけでなく、美術館やコレクターが近代美術の収集を始めるきっかけともなり、この国の前衛芸術に対する意識を刷新したと言われる。なお、現在でもアートフェア(「The Armory Show, The International Fair of New Art」)として毎年米国で開催されている。

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参考文献

American Painting,from the Armory Show to the Depression,Milton Wolf Brown,Princeton University Press,1955
The Story of the Armory Show,Milton Wolf Brown,Joseph H. Hirshhorn Foundation,1963
The Organizers of the Armory Show(exh. cat.),University of Kansas Museum of Art,1964
American Painting: From Its Beginnings to the Armory Show,Jules David Prown,Skira,1987