異国趣味
- Exoticism
- 更新日
- 2024年03月11日
18世紀から20世紀初頭のヨーロッパで流行した、アジアや中東など西洋以外の文化を取り入れようとする動き。ファッションだけでなく、絵画や検知器、家具、食器など、幅広く流行した。15世紀から17世紀の大航海時代を機に、アジアやアフリカのモノや文化が西洋に大量に流入するようになったことを背景とする。特にジャポニスム、シノワズリ、オリエンタリズムが代表的。17、18世紀には、まず中国趣味を取り入れたシノワズリが隆盛を見せ、ファッションにおいてはヴィヴィッドな色彩のシルクや、細かい刺繡による装飾などが見られた。また、日本の着物もこの時期にはすでにヨーロッパに渡っており、ゆとりのある形から紳士用室内着(ガウン)として愛用され、19世紀に入ると女性の室内着としても定着した。19世紀末から20世紀初頭になると、女性の衣服からコルセットを排除しようとする動きが活発化し、外出時のドレスにおいても、ジャポニスムやオリエンタリズムの影響が色濃い衣服が流行した。代表的なデザイナーはポール・ポワレで、着物や『千夜一夜物語』の世界観に影響を受けた衣服をデザインし、自然な女性の身体が持つ美しさを表現し大成功を収めた。異国趣味はまた、コルセットの排除という西洋のファッションの重要なターニング・ポイントに影響を与えたという意味で、服飾史上でもきわめて重要な概念であるが、現在のファッション産業においては、さまざまな民族や地域の伝統的な色や柄などのモチーフが次々と借用され、流行の一部として取り入れられるものとなっている。
補足情報
参考文献
『ジャポニスム イン ファッション 海を渡ったキモノ』,深井晃子,平凡社,1994
『世界服飾史』,深井晃子監修,美術出版社,1998