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エコール・ド・パリ

École de Paris(仏)
更新日
2024年03月11日

1920年代パリで制作活動をしたアーティストたちの一群。特定の流派や様式、芸術運動を伴わない外国人芸術家たちのゆるやかなまとまりを指す。その多くはモンマルトルもしくはモンパルナスに居住する東欧出身もしくはユダヤ系の作家たちであった。印象派の登場から第二次世界大戦までパリは芸術の国際的中心地として多くの芸術家やギャラリーを集め、外国人芸術家たちは批評家や画商のサポートを受けながら活動した。代表的な作家はピカソ、グリス、ミロ、シャガール、スーティン、リプシッツ、ブランクーシ、キスリング、パスキン、モディリアーニ、また日本の藤田嗣治など。キュビスムとシュルレアリスムをつなぐ時代の潮流となった。なお呼称そのものは美術評論家アンドレ・ヴァルノが25年に『コメディア』紙上で最初に使用された。当初はアカデミー派の伝統を受け継ぐフランス芸術と対置され、戦間期には反ユダヤ主義、ナショナリズムの立場から否定的に扱われたが、第二次世界大戦以降はよりニュートラルな呼称として使用されるようになった。なお第二次世界大戦後から60年代に現われたアンフォルメル、タシズム、リリカル・アブストラクションの作家たちをニューヨーク・スクールと対比的に新エコール・ド・パリと呼ぶ場合がある。

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参考文献

『世界美術大全集 西洋編 第25巻 フォーヴィスムとエコール・ド・パリ』,小学館,1994
『モンパルナスのエコール・ド・パリ』,ジャン=ポール・クレスペル(藤田尊潮訳),八坂書房,2013
L’Ecole de Paris 1945-1965 : Dictionnaire des peintres,Lydia Harambourg and Clotilde Scordia,Ides et Calendes,2010