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おたく/オタク

Otaku
更新日
2024年03月11日

マンガ、アニメ、アイドルなどのサブカルチャーの特定領域に関心を持ち、そのことに自らのアイデンティティを見出す人々の総称。明確な定義があるわけではなく、論者によりさまざまな解釈が試みられる語。もとはエッセイストの中森明夫による1983年の造語とされる。88年に発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件を機に、同事件の被告に象徴される非社会的な人格を連想させる語として、否定的な評価とともに社会的に認知されるようになった。しかし90年代には、サブカルチャーを日本の新しい文化的アイデンティティ、有望なコンテンツ産業として重要視する動向を背景に、それを支える文化的・経済的主体として肯定的にも捉えられるようになった。オタクたちは同類のオタク同士で活発なコミュニケーションを行ない、独自の島宇宙的なコミュニティを形成するが、コミュニティ外の領域、特に美術、学術研究といったハイカルチャーからの干渉には強い反発を示すことがある。オタクのうち60年前後生まれを第一世代、70年前後生まれを第二世代、80年前後生まれを第三世代と分類することがある。

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参考文献

『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』,東浩紀,講談社現代新書,2001
『ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展 日本館 おたく:人格=空間=都市』,森川嘉一郎編,幻冬舎,2004
『リトルボーイ 爆発する日本のサブカルチャー・アート』,村上隆編著,ジャパン・ソサエティー,2005
『東大オタク学講座』,岡田斗司夫,講談社文庫,2008