オープンシステム/クローズドシステム
- Open System / Closed System
- 更新日
- 2024年03月11日
オープンシステムとは、市場に流通し、誰もが購入可能な部品や材料を用いて、建物を含む「製品」を組み立てるシステムを指す。対して、特定の者のみが用いることのできる部品や材料を用いて組み立てるシステムを、クローズドシステムという。ここでいう「システム」とは、製品を生産する一連の仕組みのことを意味しているため、当該の部品の組み立てに用いられる技術が汎用的なものであるか否かも、そのシステムがオープンであるかクローズドであるかを判断する基準たりえる。ただしシステムがオープンであるかクローズドであるかは、つねに相対的な問題である。例えば、日本の市場で流通している部品を組み立てて製品をつくるシステムはオープンであるといえるが、それが他の国では入手困難な場合、外国から見てそのシステムはクローズドであるともいえる。なお、オープンシステムは理念としての意味合いも持っており、市場開放された部品群で組み立てられる建物では、市場競争によって部品の品質の向上と低コスト化が実現され、また建物それ自体も、さまざまな部品が取り付け可能なものとなるため、設計や部分的更新のフレキシビリティが高まると考えられた。こうした理念は、1960年代後半のフランスにおいてはじめて行動目標化されたが、日本にもただちに紹介され、東京大学内田祥哉研究室などで理論的な整備が行なわれた結果、部品化住宅などのコンセプトとして結実する。その後、日本は「プレファブ住宅メーカー」などと呼ばれる、部品化された住宅をつくる企業が成功を収める世界でも例を見ない国となるが、メーカーがそこで用いられる部品を自社部品に限定することによって、住宅のブランド化と品質確保を徹底する戦略へと舵をとったため、その生産システムはむしろクローズドなものとして完成していくことになる。
補足情報
参考文献
『建築生産のオープンシステム』,内田祥哉,彰国社,1977
『日本建築学会計画系論文集』No.543,「設計指向型部品の成立要件とその役割に関する考察 設計指向型部品に関する研究 その1」,佐藤考一、松村秀一,日本建築学会,2001