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海外超現実主義作品展

Kaigai Chou-genjitu-shugi Sakuhin Ten(Surrealism in Western Countries)
更新日
2024年03月11日

昭和戦前期にヨーロッパのシュルレアリスムの作品や資料を多数展示した展覧会。1937年6月に銀座の日本サロンで東京展が開催され、以後7月まで京都、大阪、名古屋、金沢を巡回した。企画者は瀧口修造と山中散生。『みづゑ』編集長の大下正男が後援した。すでに山中は33年に巴里東京新興美術展を企画・開催し、ポール・エリュアール、アンドレ・ブルトンらとの交友を通じて得た複写写真資料を紹介していた。それをふまえた海外超現実主義作品展では、複写写真だけでなく、水彩、素描、版画といった実物の作品も数多く紹介し、総計377点もの規模となった。出品作家は、パリで活躍する者からマックス・エルンスト、イヴ・タンギー、ジョアン・ミロ、パブロ・ピカソ、ハンス・ベルメール、マン・レイ、ベルギーからルネ・マグリット、チェコからインドリヒ・スティルスキー、イギリスからヘンリー・ムーア、ポール・ナッシュ、イタリアからデ・キリコなど、多くの国から選ばれた。山中たちはニューヨーク近代美術館のアルフレッド・バーJrにも連絡をとってアメリカのシュルレアリスム作品を招来しようとしていたが、これは実現しなかった。この展覧会では、ヨーロッパの同時代のシュルレアリスムが遅延なく実物と写真で伝えられ、日本におけるシュルレアリスム運動の展開につながった。

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補足情報

参考文献

『海外超現実主義作品集 Album Surréaliste みづゑ臨時増刊』,春鳥会,1937
「日本のシュールリアリスム 1925-1946」展カタログ,名古屋市美術館,1990