Artwords®

解釈

Interpretation
更新日
2024年03月11日

未知のもの、難解なもの、一義的に説明しがたいものなど、そのままの状態では理解できないものを、理解可能なものに変換すること。翻訳。解釈行為の対象は、通常、何らかの意図のもとに構成された多義的な情報の集合体(テクスト)であり、物理現象や数式のようにひとつの解があらかじめ想定される場合は除外される。上記「未知のもの、難解なもの…理解可能なもの」といった設定はすべて「解釈者にとって」という条件を含むため、解釈にはその解釈者が既知と認識する前提が反映される。そして当然、解釈者によって解釈の内容は異なる。したがってひとつのテクストに対して無数の解釈がありえるが、それぞれの解釈にはそれぞれの解釈者にとっての正しさが志向されるがゆえに、解釈どうしは優劣関係あるいは対立関係になることがある。この場合、同一対象にかかわる複数の解釈は正当な解釈と不当な解釈(誤解)に分けられることになる。ただしすべての解釈が背反関係にあるとは限らず、対象となるテクストから読み取る文脈が衝突しなければ多様な解釈が共存することができる。いずれにせよ、対象により多く適合している解釈がより優れた解釈、または「客観的な」解釈とみなされる(内容に寄り添うことでテクストとの適合を図る解釈と批評を対置させるS・ソンタグの『反解釈』を参照のこと)。注意せねばならないのは、解釈内容の正しさはテクストの作者の意図と必ずしも関係せず、作者の意図を超えてテクストが求める解釈の地平がありうる点である。この点に立脚するのが受容美学である。

著者

補足情報

参考文献

『美学辞典』,佐々木健一,東京大学出版会,1995
『反解釈』,スーザン・ソンタグ(高橋康也ほか訳),ちくま学芸文庫,1996