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企画展

Temporary Exhibition
更新日
2024年03月11日

美術館、博物館などの文化施設において、あるテーマに沿って一定期間作品を展示すること。常設展が自館の収蔵作品を展示するのに対し、企画展では自前のコレクション以外にも国内や海外の美術館やギャラリー、コレクターから作品を借りて展示する。そのため、他の美術館やギャラリーとのネットワークが強化される。また、新聞社やTV局などマスメディアとのタイアップによって幅広い層の集客が見込める。海外からの作品の貸借は高額になるため、他の美術館と費用や作業を分担して巡回展にすることもある。日本においては、1980年代以降、セゾン美術館や水戸芸術館、国立新美術館などコレクションを持たないクンストハレ形式の美術館が多く開館したことや、西洋美術のコレクションが海外の美術館などに比べあまり充実していないこともあり、企画展中心の美術館運営が一般的である。テーマから作品選定、作品の貸借交渉、会場構成などすべてを指揮する学芸員またはキュレーターにとって、企画展は研究成果の発表の場であり、研究論文を掲載した展覧会カタログは文献的価値が高い。近年は出版社がカタログを制作し、一般書として販売されることも多い。展覧会場以外でも入手でき、また重版される可能性もあるので、年月を経た後でも入手しやすい。

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補足情報

参考文献

『美術館の政治学』,暮沢剛巳,青弓社,2007
『美術館はどこへ? ミュージアムの過去・現在・未来』,暮沢剛巳,廣済堂出版,2002
『超・美術館革命 金沢21世紀美術館の挑戦』,蓑豊,角川書店,2007