ギャルソンヌ・ルック
- Garçonne Look
- 更新日
- 2024年03月11日
1920年代中頃から後半にかけ流行したボーイッシュなスタイル。ギャルソンヌとは、フランス語で「少年」を意味する「ギャルソン(garçon)」を女性形にしてつくられた造語で、22年にフランスでベストセラーとなったヴィクトール・マルグリットの同名の小説に由来する。自らの意思で人生を切り拓くヒロインの生きざまを描いたこの小説は、大戦後の自立した新しい女性像とともに、短い髪に釣鐘型の帽子、シンプルな直線的シルエットの膝丈ドレスを合わせる、文字通り少年のようなスタイルをパリのモードにもたらした。このような流行が現われた背景には、第一次大戦をきっかけに、女性たちがめざましい社会進出を果たし、その意識を大きく変化させたことが挙げられる。戦後、以前にも増して活動的になった女性たちは、流行のスポーツやダンスに興じ、自ら車を運転し、かつてない自由を享受するようになるが、そのとき、女性たちが求めたのが、活動に適した実用的な服であった。しかし、29年の世界大恐慌を機に、女らしいスタイルが復活し、女性たちは再び髪を伸ばしウェーブを当て、夜には細身のロング・ドレスをまとうことが流行する。とはいえ、日常着では、ギャルソンヌ・ルックの流行でもたらされた機能的な服への好みが継続し、シンプルなスーツやワンピースはそのまま女性たちのワードローブに定着した。
補足情報
参考文献
La garçonne,Victor Margueritte,Flammarion,1922
『ガルソンヌ』,ヴィクトル・マルグリット(永井順訳),創元社,1950
Les Garçonnes,Christine Bard,Flammarion,1998