アートスケープ since 1995

2004年に鹿児島県甑島（こしきじま）で、島全体を展示会場にして行なった展覧会がきっかけで始まった滞在制作型のプロジェクト。展覧会の期間は８月末の１週間から２週間で、期間中は、島の伝統的な祭りや音楽の保存をテーマにした「じょうやま音楽祭」、上甑島の里町に古くから伝わる玉石の石垣を復活させる「たまいしプロジェクト」など複数のプロジェクトが行なわれる。09年７月には一般社団法人日本経営協会主催の「自治体総合フェア2009」の特別企画「第１回活力協働まちづくり推進団体表彰」でグランプリを受賞し、話題を集めた。
甑アートプロジェクトは島外の学生やアーティストが島へ来て、空き家や学校で滞在制作を行ない、外部の視点で島の良さや独特の文化を捉え、アートによって表現することで、島民自身は当たり前だと思っていた島の生活や自然の貴重さをあらためて感じてもらう場を生み出すことを目的としている。甑島出身の作家である平嶺林太郎が、島から人が離れ、人口が減少していくなかで、「島民に島のよさをあらためて見直してほしい」という想いで始めたプロジェクトであり、最初は家族や友人を巻き込んで始めた活動にすぎなかったが、次第に住民や若手アーティスト、自治体を巻き込んでいくことになり、まちづくりのプロジェクトとして鹿児島県や薩摩川内市がバックアップするまでの広がりを持つものとなった。09年からはアサヒ・アート・フェスティバルに参加し、島民だけではなく全国からの来島者へ向けて甑島の生活文化の豊かさを発信している※。