「コンテンポラリー・フォトグラファーズ」展
- “Contemporary Photographers”
- 更新日
- 2024年03月11日
アメリカのジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館で、ネイサン・ライアンズの企画によって1966年、67年、68年の3回にわたってシリーズ開催された写真展。3回のうち最も写真史上に影響を及ぼしたのは、「Toward a Social Landscape」(社会的風景に向って)と題された第一回で、ロバート・フランクの後続世代にあたる写真家たちによる、平凡な日常への私的なアプローチが取り上げられた。参加作家はブルース・デイヴィッドソン、リー・フリードランダー、ゲイリー・ウィノグランド、ダニー・ライアン、デュアン・マイケルズの5人。その後の第二回は「The Persistence of Vision」(視覚へのこだわり)と題して、ロバート・ハイネケンやジェリー・ユルズマンといった、イメージに何らかの加工を施して表現を試みる写真家を特集。第三回は154人の写真家による多様な表現を集めた「Vision and Expression」(視覚と表現)で、川田喜久治、栗原達男、小川隆之、富山治夫など、日本人写真家も参加している。なお、第一回の展示の際にカタログとして発行された同名の写真集は、日本の若手写真家たちにも影響を与えた。70年前後に日本で流行した「コンポラ写真」は、一般にこの写真集のタイトルにある「コンテンポラリー」を縮めて命名されたものとされるが、同展とは別に存在したアメリカの季刊誌『コテンポラリー・フォトグラファー』が語源であるという説もある。
補足情報
参考文献
Contemporary Photographers: Toward a Social Landscape,Nathan Lyons,Horizon Press,1966
Contemporary Photographers: The Persistence of Vision,Nathan Lyons,Horizon Press,1967
Contemporary Photographers: Vision and Expression,Nathan Lyons,Horizon Press,1969
『アメリカの現代写真』,小久保彰,ちくま文庫,1993
『現代アメリカ写真を読む』 (写真叢書) ,日高優,青弓社,2009