彩度
- Chroma/Saturation
- 更新日
- 2024年03月11日
色の三属性(色相・明度・彩度)のひとつで、色合いの強さ・鈍さや鮮やかさを表わす。同じ色相の黄色であっても、はっきりした黄色もあれば鈍い黄色もある。このような場合、色みがはっきりしている=彩度が高い、色みがくすんでいる(灰みが多く鈍い)=彩度が低い、というように表わす。色みがある色を有彩色といい、彩度と色相を持たない白、黒、灰色は無彩色と呼ぶ。プリズムによって分解して見ることができる太陽光の色は、最も彩度の高いものであり、純色とも呼ばれる。見かけだけの彩度では、隣り合わせた色や背景色によって違いがあるように見えることもあるが、彩度は数値でも表わすことができる。例えばマンセル表色系では、無彩色を0とし、色相によって異なるが有彩色には値が表示されている。歴史家M・パストゥローは「彩度が研究されるようになったのは、この200年のこと」としているが、画家をはじめとする美術関係者のあいだでは、それより以前から色相や明度よりも彩度を重要視してきた風潮があったとされている。パソコンが登場した近年では、コンピュータ・グラフィックスが色彩を高い彩度で表現することができるようになったことで、ますます彩度への注目は集まっているといえる。
補足情報
参考文献
『色彩のヒント』,柏木博,平凡社新書,2000
『色彩学概説』,千々岩英彰,東京大学出版会,2001
『色彩科学事典』,日本色彩学会,朝倉書店,1991