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サウンド・アート

Sound Art
更新日
2024年03月11日

音楽ではない、音を用いる芸術の総称。1980年代に流通し始めた呼称だが(80年代半ばにダン・ランダーが使い始めたとされる)、そう呼ばれるような作品はそれ以前から作られていた。その出自は音楽と視覚芸術と大きく二つに分けることができよう。音楽から生まれたサウンド・アートは、音楽における視覚的(または物理的)要素を強調するものが多く、楽器、楽譜、レコードなどを主題とするものが多い(フルクサスのJ・ジョーンズの創作楽器、多くの図形楽譜、ミラン・ニザやクリスチャン・マークレーのレコード作品など)。一方、視覚芸術から生まれたサウンド・アートは、既存の視覚芸術に音という新しい構成要素を付加するものとして理解できよう。それらは「音響彫刻(別項)」や「サウンド・インスタレーション(別項)」と呼ばれることもある。また、サウンド・アートが「新しい音楽」の単なる別称として、既存の音楽との差異化を図るために使われている場合も多い(つまり、ケージ以降の実験音楽が、ケージ的な実験音楽との差異化を図るために使う場合が多い)。このようにサウンド・アートを厳密に定義することは難しく、明確な定義なしにそれぞれの都合に合わせプラクティカルに用いられると言えよう。

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参考資料

《ニュー・ヨーク賛歌(Homage to New York)》,ジャン・ティンゲリー,1960
《Box with the Sound of its Own Making》,ロバート・モリス,1961