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サンジェルマン・デプレ

Saint-Germain-des-Prés(仏)
更新日
2024年03月11日

パリ第6区、セーヌ川左岸に位置する地区。中世からサンジェルマン・デプレ修道院を中心に居住地化が進み、文化人、知識人がカフェを中心に集まる界隈として知られ、また国立の芸術アカデミーやエコール・デ・ボザール、私塾アカデミー・ジュリアンのある芸術地区でもある。モンパルナスで形成された芸術家コミュニティが1929年の大恐慌やナチス・ドイツのパリ占領をきっかけに解体し、30年代後半から40年代にかけてパリの芸術家や文化人の拠点となっていった。第二次世界大戦後はパリの美術市場における投機熱の高まりを背景に、アンフォルメル(スタッドラー画廊)やアール・ブリュット(ジャンヌ・ブッシェ画廊)など前衛美術作品を扱う画廊が集まり、60年代にはオプ・アートやキネティック・アート(ドゥニーズ・ルネ画廊)を積極的に紹介するなどパリの前衛芸術運動の発信地となった。ポンピドゥー・センター設立後はマレ地区に移動する画廊も多かったが、現在もセーヌ通りを中心に多く画廊が集まる。99年に発足したアート・サンジェルマン・デプレ・アソシエーションは多くの前衛作家を生み出してきたこの界隈の地理的・文化的ポテンシャルを活かし、近現代の巨匠から若手まで多岐にわたるアーティストの合同展を毎年行なっており、2011年は75のギャラリーが参加している。

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補足情報

参考文献

『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』,ボリス・ヴィアン(浜本正文訳),文遊社,2005
Saint-Germain-des-Prés – Les lieux de légende,Gilles Schlesser,Parigramme,2014