シチュアシオニスト・インターナショナル/アンテルナシオナル・シチュアシオニスト(映像)
- Situationist International(英), Internationale situationniste(仏)
- 更新日
- 2024年03月11日
シチュアシオニストのギー・ドゥボールは、1950年代初頭にフランスの前衛芸術運動レトリスムに加わった後、その中の最左派としてアンテルナシオナル・シチュアシオニストを結成、その中心人物として68年の五月革命などに大きな影響を及ぼした。また、芸術至上主義を超克しようとして、「状況の構築」というテーマを掲げ、「日常生活を変革する」という、より積極的な政治活動に身を挺したが、そうした活動の傍ら、映画作家としても活動を続けていた。それはドゥボール自身によるスペクタクル批判の実践である。その生涯において『サドのための絶叫』(1952)から、自著の引用からなる映画版『スペクタクルの社会』(1973)、アンテルナシオナル・シチュアシオニスト解散後、最後の作品である『われわれは夜に彷徨い歩こう、そしてすべてが火で焼き尽くされんことを』(1978)までの、6作品を残している。そこではメディアによる既成のイメージを、それを批判する目的のために逆利用する「転用(détournement)」という方法が使われている。そこでは映画というスペクタクル自体が、徹底して反=映画、反=スペクタクルとして経験され、同時に、また逆に反=映画、反=スペクタクルが、映画やスペクタクルとして経験される。すなわちドゥボールの映画は、現実の反転された等価物として機能し、現実を鏡のように「反映」するのである。そこでは、体制対反体制や、ニセモノ対ホンモノといった、安易な二項対立的な闘いではなく、その二項対立が無効とされた上での、「反映」による闘いが示されているのである。
補足情報
参考文献
『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト(1 – 6)』,ギー・ドゥボール(木下誠ほか訳),インパクト出版会,1994-2000
『映画に反対して ドゥボール映画作品全集』,ギー・ドゥボール(木下誠訳),現代思潮新社,1999
『映画に(反)対して ギー・ドゥボール特集』,東京日仏学院,山形国際ドキュメンタリー映画祭,2009