シチュアシオニスト・インターナショナル/アンテルナシオナル・シチュアシオニスト
- Situationist International(英), Internationale situationniste(仏)
- 更新日
- 2024年03月11日
1950年代から70年代初頭にかけて、フランスを始めとしたヨーロッパ諸国において芸術・文化・社会・政治・日常生活の統一的な批判・実践を試みた前衛集団。または彼らによって刊行された機関誌の名称。52年発足のアンテルナシオナル・レトリストを前身とし、その発展系として57年に活動を始め、72年の解散まで領域横断的な文化的・政治的運動を繰り広げた。活動初期は文化批判、後期は政治批判を中心的に行ない、とりわけ五月革命に与えた影響は大きい。
シチュアシオニスト(状況派)は、大量消費やイメージの支配する既存の社会体制、都市計画等へ反発し、それらに支配されないまったく新しい欲望の形態を創出すべく、解放された生の瞬間を集団的かつ意図的に作り上げる、いわゆる「状況の構築」を目指した。また、そのための具体的な手法として「転用(デトゥルヌマン)」「漂流(デリーヴ)」「心理地理学(サイコジオグラフィ)」などを提唱及び実践を行なった。機関誌『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』には冒頭部「『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト』に発表されたすべてのテクストは、出典を明記しなくても、自由に転載、翻訳、翻案することができる」という表記があるが、これは旧来のブルジョワ的な私的所有を批判し、新しい価値を生み出そうと試みる、転用の思想を端的に表わしている。
補足情報
参考文献
『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト1 状況の構築へ:シチュアシオニスト・インターナショナルの創設』,木下誠監訳,インパクト出版会,1994
『都市空間の地理学』,加藤政洋、大城直樹編著,ミネルヴァ書房,2006
『スペクタクルの社会』,ギー・ドゥボール(木下誠訳),ちくま学芸文庫,2003
『史林』91巻1号,「シチュアシオニストとカウンターモニュメント 現代ツーリズムの萌芽か否か」,滝波章弘,史学研究会,2008