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シャトー・ドワロン

Château d’Oiron(仏)
更新日
2024年03月11日

フランスのポワトー・シャラント地域圏にある16世紀の城。オワロン城とも。2世紀にわたって王家とゆかりの深いグーフィエ家が所有した。フランソワ1世らと共につくった絵画ギャラリーには、現在ルーヴル美術館所蔵でヨーロッパ絵画史において現存する最古の肖像画であるJean le Bon王(ジャン2世)の絵画が掛けられていたと言われ、フォンテーヌブロー派の芸術家や文化人がこの城に集まっていた。1700年にルイ15世の愛妾として知られるモンテスパン侯爵夫人がこの城を所有したが、18世紀から20世紀にかけて次々と領主が代わり次第に荒廃、1943年フランス政府によって買い上げられた。90年、文化省が現代美術部門を創設するプロジェクトを掲げ、93年にジャン・ユベール・マルタンをディレクターに迎えると、ルネサンスの文化遺産と現代美術を融合させるというコンセプトのもと、Curious & Mirabiliaコレクションが始動した。好奇心と驚異を意味するコレクションの名は、ルネサンス期に王侯貴族の間で流行したさまざまな珍品を集めた博物陳列室(驚異の部屋)に因んでいる。ヴォルフガング・ライプの蜜蝋の壁やイリヤ・カバコフの音のインスタレーションといった五感をテーマにした作品などが歴史的建造物に指定された城館のあちこちに展示されている。またクリスチャン・ボルタンスキーによるオワロン村の子どもたちの写真ポートレイトや、毎年6月30日に村人を招待して開催される晩餐会のための食器(村人の横顔が描かれている)を展示するラウル・マレックの作品など、周辺住人との関わりを大切にしているほか、幅広い年齢を対象にした教育プログラムも充実している。現代美術ファンだけでなく近隣住民にも親しみのある城館として、オワロン村のシンボルとなっている。

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補足情報

参考文献

Le château d’Oiron et son cabinet de curiosités,Jean Guillaume,Frédéric Didier,Jean-Hubert Martin