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新人画会

Shinjin Gakai
更新日
2024年03月11日

太平洋戦争中に結成された若い画家たちの小グループ。1943年の初頭、靉光、麻生三郎、糸園和三郎、井上長三郎、大野五郎、鶴岡政男、寺田政明、松本竣介の8名が結成した。会名は、東京帝国大学の左翼的な社会思想研究会である新人会にちなんだものともいわれる。同年4月に第1回展を東京・銀座の日本楽器画廊で開催。続く第2回展を同年11月に同じ場所で、そして第3回展を翌44年9月に資生堂画廊に変えて開催した。その後は、会員の出征や疎開などによって会員が散り散りになり、活動を休止した。松本によれば終戦まで会が存続したとされるが、展覧会を組織した実質的な活動期間は1年半に過ぎない。だが、画家である以上、戦争翼賛と統制から逃れられなかった時代にありながら、仲間同士の小さな集まりであったにせよ、彼らは時局から離れてシュルレアリスム的な、あるいは暗いリアリズムの作品を発表し続けた。そして戦後46年に靉光の戦死が知らされ、48年に松本が病没したが、残された麻生、糸園、井上、鶴岡らが戦後さらに活躍したこと、また土方定一らによる評価が一般化したことで、新人画会は、ささやかながらも時局に抵抗した伝説的なグループとしても注目を集めるようになった。

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補足情報

参考文献

『昭和期美術展覧会出品目録 戦前篇』,東京文化財研究所編,中央公論美術出版社,2006
「生誕100年 靉光」展カタログ,東京国立近代美術館,2007
「新人画会」展カタログ,板橋区立美術館,2008
「生誕100年 松本竣介」展カタログ,神奈川県立近代美術館,2012