ジャズ・エイジ
- Jazz Age
- 更新日
- 2024年03月11日
アメリカ合衆国の1920年代の文化・風俗を指す言葉。当時、同国は第一次世界大戦後に加速した排外的な人種主義(100%アメリカニズム)、禁酒法の施行、ギャングの台頭を伴いながらも、戦争のもたらした好況を背景にラジオ、映画、ダンス・ホールなど商業的娯楽が普及し大衆消費社会へと向かい始めていた。「ジャズ・エイジ」という言葉はF・S・フィッツジェラルドの短編集『ジャズ・エイジの物語』(1922)に由来するが、彼自身はその後のエッセイ「ジャズ・エイジのこだま」(1931)のなかで、その意味するところを以下のように定義している。19年のメーデーから29年10月(ウォール街の大暴落)までの、「奇跡」と「芸術」と「過剰」と「風刺」の時代、「一つの民族全体が享楽的になり、快楽を追求した」時代であったと。「ジャズ」という単語も「最初はセックスを意味し、次いでダンス、その後音楽を意味するようになった」という経緯から、そのすべてを含み持つ意味でフィッツジェラルドは使用している。実際、17年に初レコーディングを終えたばかりの新興音楽であった当時のジャズは、高度な技術を重視する40年代以降のモダン・ジャズとは大きく異なり、ダンス・ホールで男女を踊らせるために楽団が演奏する「大衆音楽」であった。しかしジャズの「トロンボーン」や「ドラム」の音のなかで生じた「史上空前の高価なばか騒ぎ」(フィッツジェラルド)の時代は、一般大衆の経済的基盤の脆弱性を露呈した大恐慌の始まりとともに終焉したとされている。
補足情報
参考文献
『ジャズ・エイジの物語 フィッツジェラルド作品集1』,渥美昭夫、井上謙治編,荒地出版社,1981
『崩壊 フィッツジェラルド作品集3』,渥美昭夫、井上謙治編,荒地出版社,1981
『ジャズ批評』2000年NO.1,特集=アーリー・ジャズ入門,ジャズ批評社
『大衆音楽としてのジャズ』,中村とうよう,ミュージック・マガジン,1999