ジャンク・アート
- Junk Art
- 更新日
- 2024年03月11日
廃棄物をアッサンブラージュなどの手法を用いて集積、構成した美術作品の総称。ジャンク・アートの起源としては、街路や廃棄場で拾われた切符や新聞、広告の断片や廃物を素材としたコラージュ作品であるメルツ絵画を、1919年より制作したダダイストのクルト・シュヴィッタースや、シュヴィッタースに影響を及ぼしたパブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックらのパピエ・コレ、またマルセル・デュシャンのレディメイドなどが挙げられる。そこには、20世紀初頭の工業化によって大量生産、大量消費された工業製品や印刷物に対する作家の批評性が見て取れるが、その動向は50年代以降にアメリカ合衆国ではネオ・ダダの作家ロバート・ラウシェンバーグのコンバイン・ペインティングやジョン・チェンバレンの廃品を使ったアッサンブラージュ、またフランスではイヴ・クライン、アルマン、セザールらによるヌーヴォー・レアリスムに継承されることとなった。ヌーヴォー・レアリスムにおいて理論的役割を担った美術評論家のピエール・レスタニは、近代化による産業社会での物質の氾濫に関連づけられた、工業生産の美的再利用としての現実の直接的呈示を重視しており、アルマンにおいてそれは物質の集積、破壊、焼却、またセザールにおいては圧縮といったそれぞれ異なる制作手法によって作品化がなされた。
補足情報
参考文献
「エコール・ド・ニース 1950-1995」展カタログ,プレスキット,1995