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ストリート・ファッション

Street Fashion
更新日
2024年03月11日

一般的には、パリ・コレクションなどでデザイナーが発表するハイ・ファッションに対置する概念として、匿名の若者たちが街のなかで思い思いの服を着ることによって、自然に作り出されるファッションのことを指す。1960年代のロンドンでは、男性においてはテッズやモッズなどのカルチャーが、女性においてはミニスカートなどが生み出されたが、日本でも64年に銀座みゆき通りに「みゆき族」が出現し、アイビー・ルックが流行した。その後も80年代には「竹の子族」「カラス族」などのさまざまな「族」が、90年代以降には「渋谷系」「裏原系」などさまざまな「系」が出現した。2000年代に入ると、ストリート・スナップで誌面を構成する雑誌が次々と発刊され、あるいは神戸コレクションや東京ガールズ・コレクションなどのストリートを強く意識したファッション・ショーが盛んに行なわれるようになったことにより、ストリート・ファッションがさらに注目を浴びることになった。ストリート・ファッションは自然発生的と捉えられがちであるが、ミニスカートとマリー・クワント、パンクとヴィヴィアン・ウェストウッド、みゆき族と石津謙介のVAN、カラス族と川久保玲のコムデギャルソンが関係しているように、デザイナーズ・ブランドと関係することが多く、必ずしもアノニマスなデザインと言えるわけではない。

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参考文献

『ストリートファッション1945-1995 若者スタイルの50年史』,アクロス編集室編,PARCO出版,1995
『族の系譜学 ユース・サブカルチャーズの戦後史』,難波功士,青弓社,2007