製作者懇談会
- Creator's round-table conference/Seisakusha-Kondankai
- 更新日
- 2024年03月11日
1955年、美術家の池田龍雄と映画を志していた粕三平(熊谷光之)、演劇の田畑慶吉らが立ち上げた研究会。総合的なアヴァンギャルド運動を目指して絵画部(石井茂雄、飯田善國、河原温、島村潔、芥川紗織、前田常作)、写真部(奈良原一高)、演劇部(羽仁進、佐藤忠雄、新藤謙、山際永三)を設け、自由討論会とともに機関誌『リアリズム』を発行した。会の活動は57年に終息。当初目標としていた自主製作映画の実現は叶わなかったが、56年に田畑が劇団「集団劇場」を、58年には会に出入りしていた江田和雄が劇団「人間座」立ち上げ、映画部が記録映画を盛んに取り上げる雑誌『映画批評』を57年に創刊するなど、後続する展開も生んだ。機関誌名がストレートに示している通り、会がテーマに据えたのは社会状況に根ざしたリアリズムであり、前衛と大衆との隔たりや「中央」と「地方」の乖離などに焦点が当てられた。リアリズム追求やクロスジャンル志向は1950年代の文化状況全般に顕著な傾向だが、この会独自の特徴としては映画や演劇分野との連携や、絵画部が55年に福岡県小倉を皮切りに「ドサ回り」と称して大分、新潟、福島、大阪、富山などあえて地方で展覧会を開催した活動などが挙げられよう。
補足情報
参考文献
「池田龍雄 アヴァンギャルドの軌跡」展カタログ,山梨県立美術館、川崎市岡本太郎美術館、福岡県立美術館,2010
『芸術アヴァンギャルドの背中』,池田龍雄,沖積舎,2001