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ソラリゼーション

Solarization
更新日
2024年03月11日

ネガフィルムやポジフィルムの露光中に光を過度に当てることで、潜像の一部が過剰に露光され、その部分の画像が反転して現われる現象。または、その現象を利用して写真を作る技法。ネガ像とポジ像をひとつのイメージのなかに同居させたような画像が得られる。この現象について1862年にフランス写真協会誌に報告した人物の名にちなみ、「サバティエ効果」とも呼ばれるが、この場合は現像の途中でプロセスを一度中断し、短時間の再露光を加えることで反転化を得ており、厳密には異なる現象である。しかし、両者の生みだす画像上の効果が似通っていることから、ふたつを合わせて「ソラリゼーション」と呼ぶ場合が多い。また、サバティエが言及する以前から、この現象自体は知られていた。例えば、初期のダゲレオタイプにおいて同様の現象が起きていたほか、イギリスのウィリアム・ジャクソンが57年に反転現象についての手紙をロンドン写真協会誌の編集者に送っている。その後、1929年にはマン・レイが助手のリー・ミラーとともに偶然にこの現象を発見し、ポートレートなどの制作に積極的に利用。日本でも30年代に始まる新興写真の流れのなかで用いられた。

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