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タマリンド・リトグラフィー工房

Tamarind Lithography Workshop
更新日
2024年03月11日

1960年、画家・フェミニズム運動家のジューン・ウェインによってロサンゼルスに設立されたリトグラフ(石版画)専門の版画工房。工房の名は設立地の大通りの名称に由来。フォード財団の基金で運営された非営利の組織であり、当時衰退傾向にあったリトグラフ技法の普及促進、リトグラフの版画技師(マスター・プリンター)の養成を目的とした研究所でありプロジェクトスペースであった。作り手の共同性を尊重する方針で、プリンターは招聘したアーティストとペアになって制作を行なうことで育成された。版画を通じてコレクターやディーラーを含めたネットワークを結び、リトグラフを現代美術における一技法として認識させた功績は大きく、60年代を中心にアメリカで起こったプリント・リヴァイヴァル、プリント・ルネサンスと呼ばれる機運を促した。70年に基金が尽きた後はタマリンド・インスティテュートとしてニューメキシコ大学に統合されて現在に至る。10年間の活動期間中に同工房のプロジェクトに関わったアーティストは103名、制作された版画は2,900種にのぼるという。輩出されたマスター・プリンターには、後にジェミナイG.E.L.を経てタイラー・グラフィックスを立ち上げてアメリカ現代版画の中心的役割を果たしたケネス・タイラーなどがいる。

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参考文献

Tamarind: homage to lithography,Museum of Modern Art,1969