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「第3回シュルレアリスム国際」展

“Exposition Internationale du Surréalisme”(Galerie Beaux-Arts, Paris)(仏)
更新日
2024年03月11日

1938年にギャルリー・ボザール(パリ)を会場に開催されたシュルレアリスム国際展。シュルレアリスム国際展は、コペンハーゲン、ロンドン、メキシコ・シティ、プラハなど各地のシュルレアリストが母体となり、ブルトンらと連携することで開催されたが、パリを会場に行なわれた第3回展は、その特異な展示設計で注目された。会場の入り口には、S・ダリによる、本物の黒いタクシーの中にさまざまなオブジェで過剰に演出されたマネキンが座る《雨降りタクシー》が置かれ、会場内には、同様にレディ・メイドのオブジェや装飾をまとったミロ、エルンスト、マッソンらによる16体のマネキンが設置された。また、M・デュシャンは会場の天井から紙や新聞紙が詰められた1,200個の石炭袋を吊り下げた。このような展示方法は現在「インスタレーション」「環境芸術」などと呼ばれる空間一体型の作品との相似をなす。ほかにも電気仕掛けの火鉢が会場をほの暗く照らし、重厚なベッドが室内に置かれるなど、その会場設計からは、観客から通常の鑑賞経験を剥奪し、特異な場における特異な心理的諸効果の産出を狙ったシュルレアリストたちの演出を見てとることができる。

著者

補足情報

参考文献

Displaying the Marvelous: Marcel Duchamp,Salvador Dali,and Surrealist Exhibition,Lewis Kachur