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デカルコマニー

Décalcomanie(仏)
更新日
2024年03月11日

写し絵、転写画。「décalquer(複写する、転写する)」を由来とするフランス語。元来は紙に描いた絵を陶器やガラスに転写するために用いられていた手法を、1935年頃にO・ドミンゲスが独立した絵画技法として転用した。吸水性が低く滑らかな媒体(ケント紙など)に粘度のある絵具を乗せ、絵具が固化する前にその上から別の紙を押し当ててはがす、あるいは二つ折りした紙に絵具を挟んで開くことで出来上がる。後者の方法であれば左右対称の図が得られる。表現の仕上がりには偶然が大きく作用し、皺の寄ったような斑状の表現が有機的な形象を連想させることもあり、オートマティスムの一種としてシュルレアリストたちが用いた。とりわけM・エルンストによる作例が知られている。エルンストはこの技法を油画に応用し、偶然にできたイメージに加筆して風景画などを制作している。日本では美術評論家の瀧口修造が多くのデカルコマニーを残している。

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参考文献

「瀧口修三展2」カタログ,ときの忘れもの,2014