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デザイン思考

Design Thinking
更新日
2024年03月11日

デザイン思考とは、イノベーションを生みだすことを目的とした、ユーザーの観察・調査からニーズを見つけ、ブレインストーミング、プロトタイピングなどによってアイデアを練り上げる一連の思考技術を指すものである。現在では、主にビジネスの領域において「イノベーションを生み出すための方法論」として流行・定着している。デザイン創造プロセスの理論化は、1969年にハーバート・A・サイモンが『The Sciences of the Artificial』(日本では『システムの科学』として同年に初版が翻訳出版された)において、デザインの評価、代替案の探索、構造および組織化の理論、問題の表現方法といったトピックを挙げ整理するなど、さまざまな試みがされてきた。その後、2005年に米国IDEO社の創業者でありスタンフォード大学教授のデヴィッド・ケリーらによってスタンフォード大学に設立されたHasso Plattner Institute of Design at Stanford University、通称「d.school」のカリキュラムを通じて、現在の定義が広く定着することとなった。d.schoolにおいて行なわれているデザイン思考のプロセスは、「Empathize(ユーザーへの共感によって洞察を得る)」「Define(洞察から問題点を絞り込む)」「Ideate(ブレインストーミングによってアイデアを創造する)」「Prototype(プロトタイプをつくりアイデアを可視化する)」「Test(プロトタイプによってユーザーの反応を検証する)」という5つのステップを行きつ戻りつしながらアイデアを練り上げていくものとなっている。

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参考文献

『デザイン思考が世界を変える イノベーションを導く新しい考え方』,ティム・ブラウン(千葉敏生訳),早川書房,2010
『システムの科学 第3版』,ハーバート・A・サイモン(稲葉元吉、吉原英樹訳),パーソナルメディア,1999