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パタン・ランゲージ

Pattern Language
更新日
2024年03月11日

都市計画家、建築家であるクリストファー・アレグザンダーが提唱した言語とそれを用いるための理論。 アレグザンダーの関心は建築及び都市の構成理論の定式化に向けられていた。パタン・ランゲージは彼の研究成果のひとつであり、環境を構成する諸要素をパタンによって定義し、デザイン活動を科学的に解明することを試みている。大部分の人々が環境を語る基準を持ちあわせず、近代都市が効率を優先したために人間や自然に対する思いやりが欠落した状況に、誰もが使用できる理論を共有することで、健全な社会を作り出すことを目的とした。アレグザンダーはこの理論において人々が心地よいと感じる環境を分析し、253のパターンを定義している。それは「泳げる水」「小さな人だまり」「座れる階段」などで、そのパターンを組み合わせていくことでひとつの言語、つまり建築や都市などの生成物を生み出すことができるとしている。人々が心地よいと感じる環境は人それぞれであるためこのパターンの種類は設計に参加する人や場所によって可変であり、アレグザンダーが最初に定義している253のパターンもあくまで仮のものである。建築家、難波和彦はパタン・ランゲージを「建築計画学の面でパタン・ランゲージを越える計画理論は未だに出現していない」と評価する一方で「デザイン理論と実際のデザインは分けて捉えるべきである」と批判している。アレグザンダーの手によるパタン・ランゲージの実践例として《盈進学園東野高校》(1895)があるほか、近年になり住民参加型の集合住宅の設計などが実際に見られ、再びパタン・ランゲージが注目されている。

補足情報

参考文献

『パタン・ランゲージ 環境設計の手引』,クリストファー・アレグザンダー,鹿島出版会,1984
『10+1』No.47,「クリストファー・アレグザンダー再考」,難波和彦,INAX出版,2007